算数得意化プロジェクト
算数が得意になりたいと願うすべての子どもたちのために…

苦手な算数を得意にしたい

計算が苦手

 計算や単位換算が苦手になる原因のほとんどは練習不足です。だから練習をすれば得意になると思います。ただし1度にまとめてたくさん練習するよりも、毎日少しずつ練習した方がより効果が上がります。ですからたとえば宿題をためておいて、最後の日にまとめてやるタイプの生徒はなかなか上手になりません。
 もうひとつ計算が得意になるコツがあって、それは筆算や途中の式をできるだけていねいにかいて残すことです。1度にまとめてやるタイプの生徒は短時間にたくさん解こうとするので、この点でも不利になります。
 毎日少しずつ練習するために大切なことは2つあります。
 1つ目は、1日あたりの量(時間)を不必要に多くしないことです。毎日の努力が続かない生徒は勉強が嫌いなタイプが多いので、こういったタイプの生徒に「1日3時間ずつ練習しなさい」って言ってもやる気をなくすだけです。毎日練習するのであれば、計算だけなら1日3〜5分くらいで十分だと思います。「1日3分ずつ練習してみたら?」であれば、ほとんどの生徒が、「そのくらいならやってもいいな」と思ってくれると思います。それで成果が出て、「このくらいで成績が上がるのなら、もうちょっとやってみようかな」と思ってくれればしめたものです。
 2つ目は毎日時間を決めてやることです。1日3分の努力でも毎日続けることはけっこう難しい。だから、朝起きてから朝ご飯の準備ができるまでの間とか、学校から帰ってきて遊びに行くまでの間とか、いつやるかを決めておくといいと思います。3分〜5分であれば毎日のスケジュールの中で割り込ませる場所はいくらでもあると思います。そして、このくらいの努力であれば続けられる生徒になってもらわないと困る!と私は考えています。




文章題や図形の問題が苦手

 文章題が苦手になってしまった場合、その原因の多くは小学校1年生にあると私は考えています。初めて算数で文章題を学ぶとき、始めは図をかいて説明をし次に「今度は図を使わないで式だけでやってみよう」と指導されることが多いように思います。ここで2つのタイプに分かれます。

 1つ目は、図はかかないけれども頭の中で図をイメージして式を立てるタイプ。本来算数の問題はこうして解くものだと思います。問題文が複雑になれば、頭のなかでイメージしていた図を紙の上に再現し、何度か書き直して正しい式を見つければいいだけなので、非常に汎用性の高い解き方だと思います。こちらのタイプの生徒は将来文章題や図形の問題、高校数学などが得意になる確率が高いと思います。だから、みなさんがまたはみなさんのお子様がこうやって図をかきながらといているときに、「なんだ、図をかかないと式もたてられないのか!」なんて言わないでほしいのです。


 2つ目は、図をかく過程を全く省略していきなり立式にかかるタイプです。将来数学で苦戦するのはこちらのタイプだと思います。たし算だけしかテストに出ないとか、ひき算だけしかテストに出ないといった段階ではこちらでも困ることはありません。ところがこれらが混合されて、たし算なのかひき算なのか、あるいはかけ算か、わり算かを区別する必要が発生したとき、こちらのタイプの生徒は困ることになります。

 そして解決の方法としてキーワードを探して何算かを判断するといった技を身につける生徒が多いように思います。ところがこのホームーページで用意した「ミックス文章題」を解いてみれば、このキーワードを使った方法にいかに例外が多いか(言いかえるなら、いかにたくさんの例外を作ることができるか)がわかると思います。

 それでもこの例外の問題の割合が高くなければ(20問中1問だけとか)たいして困ることはありません。20問中例外が1問であれば95点はとれるわけですから。ところが例外の問題の割合が増えたり、問題が複雑になってそもそもキーワードだけで何算かを判断することが困難になると、本格的に困ることになります。

 ここで生徒はどうするか。多くの生徒がここで暗記に頼ることになります。「このパターンの文章題のときはかけ算になる」とか「このパターンのときは、かけてからひく」とか。そしていろいろなパターンの問題を次から次へと暗記することになります。こうなってしまうとあとは、脳内のハードディスクの容量と検索エンジンの性能の勝負になります。

 しかしこの方法で高校数学(または中学入試の算数)まで乗り切れてしまう生徒は非常にまれです。どこかでシステムが破綻します。そして破綻してしまった後の努力は非常につらいものになります。とけない問題が増えるので数学(算数)にかける時間は果てしなく増加する。だけどどれだけ長時間勉強しても思ったように効果が上がらない。効果が上がらないのは当然のことなのです。すでにシステムが破綻してしまっているのですから。

 こうなってしまったら、あとは数学を捨てるか、1つ目の解き方に方向修正するかどちらかの道しか残されていないと思います。ところが、この方向修正が難しい。学年が進めば進むほど難しくなります。長い間慣れ親しんだ方法を捨て去る決意と、長い時間をかけて身に付いてしまった習慣を改善することが必要だからです。私は主に小学生を担当していますが、小6であれば改善は十分可能です。しかし、方向修正のためには1年近い時間と、指導者の深い関与が必要です。

 もっと簡単に、そして学年が進んでしまっても方向修正ができる方法はないのか。そうして考え出されたのが「ミックス文章題」や「ハイブリッド文章題」です。よかったらぜひ試してください。